袖振れ合うも他生の縁、出会いのらせんの向こうにインディ映画

by • October 31, 2012 • Gossip, NY TipsComments (0)2162

Even A Chance Meeting is Preordained..

袖触れ合うも他生の縁--

めぐり合わせを、ここまで如実に表した言葉はないでしょう。私自身、ほんのわずかな時間でも、出会うべくして出会ったなぁ、と実感する方々がたくさんいらっしゃいます。小野和正さんの名曲「ラブストーリーは突然に」の♪あの日あのときあの場所で~♪の歌詞の通り、ソーホーの曲がり角、シャンパングラスをかざした向こう側、イーストビレッジのさびれたバー、午前8時過ぎの六本木駅などなどで、偶然のフィルターを通した必然で多くの方々と知り合いました。

まもなく公開の 映画「クラウド・アトラス」、邂逅を軸にカルマをドラマチックに描いた作品といえるでしょう。

 

彼女も、不思議な縁でつながった一人です。

キマシア・ホア・ブリストルさんは、ひょんなことから東京というコネクションを通じて交流するようになりました。彼女は映画界に身を置き、観察力、洞察力、想像力を活かして脚本や監督業に携わりながら、フェイスブックやソーシャルネットワークを一切利用していないちょっとした変わり者さん。同時に振り子時計のような、懐かしさとあたたかさに満ちた方なんですよね。クリエイターなだけにちょっとエキセントリック、いわば不思議ちゃんな要素も色もにじませていたり。eメールの署名が「Sent from future(未来から送信)」だなんて、キュートでしょ。そう、これはiPhoneでeメールを送信した「Sent from iPhone」の末尾を「future」に変えたお茶目なネタなんです。ご本人いわく、「ソーシャルネットワークを使ってないだけに、印象を残す努力のひとつ」だとか。

そのキマシアさん、実は人生初の壮大な挑戦に向かって邁進中なんです。彼女自身が手掛けたストーリー「The Good Citizen(s)」が、インディペンデント映画で製作開始にこぎつけられそうなんですって!どんな作品かというと、80年代の名画「ミッドナイト・ラン」と、ご存知ソフィア・コッポラ監督をスターダムに押し上げた「ロスト・イン・トランスレーション」を足して2で割ったイメージなんです。

「ミッドナイト・ラン」は、ロバート・デニーロ扮する賞金稼ぎと会計士が繰り広げるコメディ。

ざっくりあらすじを申し上げると・・・

「アメリカ人のマローンは、東京を人生の目的もなくさ迷う物事の良し悪しの判断も曖昧な風来坊。街をぶらつくマローンはある日、ひょんなことから温厚な日本人会計士のヨージに出会う。ヨージは人柄こそ善良なものの、東日本大震災で集まった巨額の募金を誤って送金してしまい、ヤクザ関係者の雇い主に追われて逃走中。そんないわくつきのヨージと妙な縁でつながってしまったが運のツキ、マローンはヨージと逃避行を始める羽目になってしまった・・。」

ストーリー上、舞台は東京だけでなくニューヨークにも及ぶそうです。どんな仕上がりになるか、楽しみになってきますよね~。

キマシアさんの経歴はというと、モナコ王室が故グレース妃に敬意を表して設立し今でもアルバート2世王子が副会長を務めるプリンセス・グレース・アウォードやロサンゼルス・アジア太平洋映画祭で、2000年前後を中心に短編映画で監督賞などの栄誉に輝いてきました。ロッカフェラー財団などの助成金を獲得しながら、着実に映画界で礎を築いてきたんです。

2003年には映画芸術開発財団の協力を得て、ベトナム戦争後ブラックフット族インディアンの保護地区での生活を描いた「Sundogs」の脚本を執筆。ブラッド・ピットが主演した「リバー・ランズ・スルー・イット」のプロデューサー、パトリック・マーキーやその他の映画製作者の目に止まり、映画化の一歩手前までたどりついたのですが・・・。そこはあらゆる人々の利害が複雑に絡まる、一筋縄ではいかない映画界。残念ながら、陽の目を見ることはありませんでした。

それから約10年・・・一歩一歩、着実に脚本作り、人脈作りに励む年月を乗り越え、「The Good Citizen(s)」の製作にゴーサインの旗が振られようとしています。ここまで来る過程において、キマシアさんは家を失うという犠牲も払ってきました。何年も身を粉にして、この映画化実現のため払った努力が、まさに実を結ぼうとしているんです。

映画化を目指すなか金融危機という未曾有の事態が発生、キマシアさんにとっても大きな障害となったことでしょう。

ところが、インディペンデント映画なだけに資金集めに骨を折っているキマシアさん。彼女自身、期間を設定して映画実現のためのサイトでキャンペーンを展開中。詳細については、こちらをどうぞ。ご興味があれば期間終了間近なので、ぜひご協力して下さいね。

キマシアさんの素顔はというと。ベトナム人の母とアイルランド人の父をもつだけに東南アジアやイギリスで生活しただけでなく、親日家である証拠に東京に滞在した経験があるほかインド、イングランド、ヨーロッパ、トルコ、南アフリカを転々としてきたんだとか。だからこそキマシアさん、国や文化が異なる人々の間の「つながり」に、ひとかたならない興味と敬意を抱いてるんですって。心の琴線に触れる出会いを大事にするキマシアさん製作、アメリカ人と日本人の人情逃走劇、ぜひ観てみたいです。

ほんわかしつつも竹のような芯の強さを感じさせるキマシアさん、私も応援してますよ!

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