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米国は株安を回避、やっぱりバーナンキ・ショックは過剰?

by • May 23, 2013 • Latest NewsComments (0)2095

Dow Shows Resilience In The Midst Of Global Stock Market Plunge.

23日は日本株が7.3%もの暴落を演じ、欧州株も独DAXや英FTSEがほぼ2%安で引け。23日には「5月に売り逃げろ(Sell in May and go away)」を彷彿とさせる相場展開となってしまいました。

トリガーを引いたのは、言うまでもなく前日のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言。質疑応答で今後数回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産買入を縮小する可能性を点灯させた上、米連邦公開市場委員会(FOMC)でも「複数の参加者が6月の買入縮小に意欲を示した」とあって、パンドラの箱を開けたかのような急落を招きました。

日本株、「山高ければ谷深し」の格言が身に染みる・・。
nikkei1

翻って米株はというと一時はダウ平均がプラス圏を示すなど底堅く、0.08%安と小幅にとどまりました。なぜかといいますと。

たとえばセントルイス連銀のブラード総裁(投票権あり)はロンドンで、

「バーナンキ議長は通常通り、政策は経済指標次第といった正しいことを言ったまでだと思う」
「仮に買入を縮小しても小幅にとどまり非常に積極的な規模であることに変わりはないだろう」
「実際に出口政策を協議する時期が迫っているとは考えていない」
「Fedが正常期に行う25bp程度かそれ以下に相当する、比較的小幅な対応を望む」
「資産買入プログラムを半分に削減させ短期的に停止するというような決断に踏み切る立場にない」

積極的に買入縮小を行う意思を表明せず、買入を縮小する場合は150億-200億ドル程度が望ましい、との見解を示したんです。一部のエコノミストは毎月850億ドルの買入ペースから500-600億ドルへの縮小を予想していましたが、これを下回る縮小規模ですね。

CNBCに登場した著名な市場参加者のコメントをみても、総じてパニック症候群に陥っていません。

WSJ紙のヒルゼンラス記者の前にFed番記者として腕を鳴らしたグレッグ・イップ氏は
「Fedの出口戦略とは1)保有資産の売却、2)FF金利誘導目標の引き上げ――の2つ。バーナンキFRB議長の議会証言、FOMC議事録のいずれも触れられておらず、出口政策は1-2年先の話である可能性を示す」

この業界に入った当時は、イップ記者の記事を目を皿のようにして読んだものです・・。
gregip

バンク・オブ・NY・メロンのリチャード・ホーイ主席エコノミスト
「金利上昇はインフレ以前に強い経済に対する反応であり、経済やブル相場を阻害するものではない。2016年の米大統領選前まで続くであろうブル相場の調整を迎えるだけだ」

クォンティテイティブ・マネジメント・アソシエイツのポートフォリオ・マネージジャーのエド・キーオン氏
「買入縮小は経済の改善を意味するからこそ、Fedには行動してもらいたい。成長率は2014-15年にかけ成長率4%に達するのではないか」

ハネウェル・インターナショナルのデビッド・コート会長兼最高経営責任者
「世界経済は依然として停滞しており、CEOとして今何か(設備投資など)行動を起こすのは間違いだ。米成長率は向こう3年間で2%を予想しており、欧州はゼロ成長、インドは4%程度、中国は6-7%を見込む。(22日の米株安について)相場は明らかに過剰反応したと解釈しており、Fedだけが落ち着いていた。Fedは財政引き締めの影響を見極めており、我々に回復の余地を与えている。」

元FRB理事のローレンス・リンゼイ氏
「バーナンキFRB議長が資産買入の縮小のシグナルを送ったかどうかについて、非常に懐疑的に捉えている。議会証言の原稿およびNY連銀のダドリー総裁の講演原稿を読めば、Fedが買入を縮小しないことは明らかだ。22日の米株安は、バーナンキFRB議長による質疑応答での回答の読み間違えに過ぎない」

ポートフォリオマネージャーを含む強気な見方をする諸氏は「買入縮小=自律的な成長への転換」とポジティブな解釈を与えてますし、産業界を含む弱気派は買入の継続を見込んでます。どっちに従っても、米株の弱気相場入りあるいは景気後退なんて蚊帳の外と判断しているんです。

いずれにしても、Fedが資産買入の縮小を視野に入れているのは事実。金利差の観点から米国債へ資金が還流するとともに、景況格差から米株へのシフトが発生すれば・・・米株は他のマーケットより安泰かもしれません。

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